2011年02月04日

中央在庫が枯渇したIPv4とは

 報道機関やネットのニュースサイトが報じていますが、ICANNが管理しているIPv4のアドレスが枯渇したそうです。この記事では、IPv4とはそもそも何なのか、それが枯渇したというのは何を意味するのかを解説していきます。

ITmedia:IPv4アドレスの中央在庫が完全に枯渇
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1102/04/news024.html
■通信するとき、何が起きているのか

 まずIPv4というのは「IPアドレスのバージョン4」ということですが、IPアドレスというのは通信相手を指定する番号のことです。ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)と契約してネットに接続すると、このIPアドレスが割り当てられ、通信ができるようになります。

 個人のユーザーがパソコンを使う場合でもIPアドレスがISPから割り当てられますし、インターネットを使ってウェブサイトを運営する業者もISPを契約してIPアドレスをもらっています。

 どこかのウェブサイトにアクセスするときにはURLを入力しますが、ウェブブラウザーはURLをもとにして通信先サーバーのIPアドレスを求めて、そのIPアドレスが割り当てられているコンピューターからデータをもらってきます。もらったデータをウェブブラウザーが読み込むとウェブページが表示されるという仕組みです。細かな違いはありますが、メールを送信するときもやはりIPアドレスを元にインターネット上のコンピューターに接続しにいきます。

■IPアドレスの管理団体

 IPアドレスを持つ機器はルーターやサーバー、パソコンなどがあり、総称してホストと呼ぶのですが、同じIPアドレスをもつ複数のホストがあると正常な通信ができなくなってしまいます。なぜなら、複数あるホストのどれに接続すれば良いのか分からなくなってしまうためです。そこで、世界的にIPアドレスが重複しないように管理している団体があります。それがICANNです(正確には、その下部組織のIANA)。

 重複しないように管理しているといっても、全世界のホスト1台1台のIPアドレスを管理しているわけではありません。1つの機関で管理しきれるほど簡単なものではないのです。

 それではどうしているのかというと、ICANNはIPv4アドレスをいくつかの範囲に小分けにして、その小分けにした範囲の管理を別の組織に委託しているのです。IPv4アドレスは0〜255の数値を4つ使って表しますので、「〜から〜の番号のアドレスを管理して下さいね」と頼むわけです。

 その頼まれる方の組織というのは、アジアと太平洋あたりを管理しているAPNICや、北アメリカを管理しているARINなどのように地域ごとに分かれていて、RIR(地域インターネットレジストリー)と呼ばれています。RIRはICANNから管理を委託された範囲をさらに小分けにして、国ごとにIPアドレスを管理している組織に委託します。さらにその組織は、その国のプロバイダーに管理を委託する……ということになります。

 さて、ICANNは、小分けにしたIPアドレスをすべてRIRに割り当てていたわけではありません。RIR側でIPアドレスが足りなくなったらICANNがRIRに順次割り当てる……という方針をとっていました。今回のニュースは、ICANNがRIRに割り当てられるアドレスの範囲がすべて使い尽くしましたよ、という意味です。RIRが各国に割り当てることができなくなった訳ではないので、まだ新しいIPアドレスが使えますが、近いうちにそれもできなくなる見通しです。

 IPアドレスを割り当てることができなくなってしまうと、つまり新しくインターネットを始めたい人がいても始められませんし、新しいウェブサイトを作ろうとしても作れなくなってしまいます。通信をするには接続先のIPアドレスを指定する必要があるのですから、IPアドレスに余りがなければ、それ以上、新たにネットワークに接続するホストを増やすことはできないのです。

■これからの通信

 実は、そうならないようにするための対策があります。それがIPv6です。IPv4ではアドレスを32ビットで表すのに対し、IPv6では128ビットを使って表すので、事実上、無限にアドレスがあるようなものです。

 IPv6を使う通信方式は結構前からありました。そして、今すぐ必要になっています。ですが、各企業や団体が管理しているサーバーのIPv6対応状況はどうかというと、対応はかなり遅れているといわざるを得ません。

 サーバーやパソコン、あるいはOSなどの製品そのものはIPv6に対応しているものが多いのですが、それを運用・管理しているシステム管理者は、IPv6は実績がないからと、製品の設定を変更しIPv6を無効にしてしまうことが多いのです。いつまでも古い方式を使い続けるわけにはいかないのですが、なにかと事なかれ主義に陥りがちなシステム管理者にとって、実績のないIPv6に乗り換えるのは気が進まないのです。このような状況を打破すべくGoogleやYahoo!などは、今年の6月8日をIPv6デーとして、いっせいにIPv6でサービス提供することを決めています。

 IPアドレス管理団体のいうように、IPv6は「今や選択肢ではなく、必須」なのです。一刻も早く世の中のホストがIPv6に対応することを願います。
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外部サイトの関連ページ
IMPRESS:IPv4アドレス枯渇で「Google マップ」が“虫食い”に!?
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2009/06/10/23748.html
Geekなページ:IPv4アドレス枯渇。その意味と恐らくこれから起きること
http://www.geekpage.jp/blog/?id=2011/2/1/1
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posted by 北条利彦 at 20:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月26日

インフラただ乗り論

 インターネットに接続するにはインターネット・サービス・プロバイダー(ISP、または単にプロバイダー)に契約して料金を払うかと思います。たとえば契約したISPがKDDIのDionであればKDDIに支払うことが当然であり、契約していないOCNやYahoo! BBなどには料金を払わないことも当然といえます。
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 ところで、インターネットというのは通信の一種ですから、当然ながら通信相手もいます。普段ウェブでアクセスするウェブサーバーもどこかの会社が運営していて、その会社もどこかのISPに契約しています。

 ここで、Iuのインターネットサービスを利用しているUさんがW社のウェブサーバーにアクセスしたとしましょう。W社が契約しているISPはIw社です。このとき、Iw社がUさんにインターネットの料金を払えと言い出したらUさんはどう思うでしょうか。ほとんど架空請求と変わらないような不当な請求ではないかと思うに違いありません。もちろん、その逆もまたしかりで、ウェブサーバーを運営しているW社が、UさんのISPであるIu社に通信料金を支払う義務は一切ありません。
InfraFreeRide.png
 もし「Iu社がW社から通信料金を取り立てるのは正しい」と認めてしまうとかなり大変なことになります。W社にアクセスしてくるのは別にUさんだけではありせん。Uさんとは全然関係のないTさんもアクセスしますし、きっとSさんもアクセスしてくるでしょう。すると、W社はアクセスしてくる人の分だけISP に支払いが発生してしまいます。こんなことになってしまったら、ウェブサーバーを公開しようと思ったら莫大な通信料を払うことになってしまうため、インターネットの衰退を招きかねません。実際にはW社は、自分が加入していないIu社などに料金を払う義務は全くありませんから、今のところは大丈夫です。

 しかし、この場合のIu社がW社から料金を取り立てるべきだと主張をするISPはあるのです。そのようなISPの言い分は、次のようなものです。

「W社もコンテンツを提供するためにIu社から回線を使っているのだ。W社がIu社に料金を払わないのは通信インフラのただ乗りだ」

 この主張は正しくなく、Iu社は、Uさんから通信料金を取っているのですから、W社からも料金を取るというのは二重課金です。

  W社に当たるのはGoogleやYouTubeなど、大量の通信が発生しているコンテンツ会社です。今のところは普通程度の通信量でウェブサイトを運営しているサイトから料金を取る話は出ていませんが、もしインフラただの理論が正当化され、実際に通信量を取るようになったら、比較的通信量の少ないサイト運営者からも通信料金を取り立てるようになっていくのは間違いありません。そのような事態に陥らないよう、インフラただ乗り論を認めてはいけません。
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posted by 北条利彦 at 20:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月19日

サーバー・クライアントモデル

 コンピューターがデータを扱うためには、そのコンピューターの電源が入っていなければなりません。したがって、2台のコンピューター同士がネットワークに接続してデータをやりとりするためには、2台とも電源が入っている必要があります。ここまでは当たり前の話です。ところが、AさんがBさんへ電子メールを送信したとき、Bさんのパソコンの電源が入っていなくても、Bさんは後でパソコンの電源を入れたときにメールを受信することができるのです。

 この場合でも、電源が切れているコンピューターとは通信できないというのは紛れもない事実です。それでもBさんにメールが届くのは、AさんのパソコンからBさんのパソコンに届くまでの経路に、24時間稼働の別のコンピューターがいるためです。

 そのコンピューターでは「サーバー」と呼ばれるソフトウェアが常に動いていて、メールを受け付けています。一般に、他のコンピューターからの接続を受け付けるためのソフトウェアをサーバーといいます。メールに関係する通信を受け付けているサーバーがメールサーバーです。

 次の図のように、Aさんがメールを送信するときには、Bさんのパソコンに直接届くわけではなく、まずメールサーバーにAさんが送信します。すると、メールサーバーがそのメールを保存しておきます。メールサーバーはいつでも起動しているので、Bさんのパソコンが起動しているかどうか気にすることなく、Aさんはメールを送ることができます。

 その後、Bさんがメールをチェックするためにメールサーバに接続すると、さきほど届いたAさんのメールが、Bさんのパソコンまで届くわけです。もちろんBさんも、Aさんに合わせてパソコンを起動する必要がありません。

ServerClient.png


 サーバーが使われているのはメールだけではありません。ウェブブラウザーでどこかのウェブサイトを見るのも、世界のどこかに設置されたサーバーに接続してデータをもらってきているのです。ウェブサイトのデータをくれるサーバーのことをウェブサーバーといいます。

 また、一般に、サーバーに接続してデータをやりとりするためのソフトウェアのことをクライアントといいます。そして、ウェブやメールなど、クライアントがサーバーに接続してデータをやりとりする仕組みのことをまとめて「サーバー・クライアントモデル」といいます。

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posted by 北条利彦 at 20:35 | Comment(0) | TrackBack(1) | 通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月22日

ネットワークの接続形態

 すべてのコンピューターを一直線につないてしまうと、途中が断線した場合に、断線した反対側には全く通信できなくなってしまうことを「ネットワークの基本的な考え方と問題点」の記事で書きました。

 有線のネットワークの場合ではケーブルが途切れてしまうと、基本的にはその先と通信することはできません。しかし、つなぎ方を工夫することで使い勝手が大きく変わってきます。今回はそのつなぎ方について書きます。また、どこかのネットワークが途切れても別の経路を通って通信できる方法もあるのですが、今回の記事の内容を大きくそれるので、そちらはまた別の機会に書くと思います。

 コンピューター同士をネットワークでどのようにつなぐのか、ということを「ネットワークの接続形態」、あるいは「ネットワークのトポロジー」と呼びます。ネットワークの接続形態には主に次の3種類があります。
  • リング型
  • バス型
  • スター型

 まず、一直線につないだ両端を結んだのがリング型です。どこか1箇所のコンピューターが故障したとしても、別の経路を通っていけば理論的には通信が可能で、経路が2箇所以上切断されると接続できないコンピューターが出てきます。しかし、実際のネットワークでは一方向にしかデータを流さないようにしているものがあり、その場合、どこか1箇所でも断線すると通信できなくなります。

 リング型は高速にデータを転送できるという特徴があるため、非常に高速な通信が必要な場面ではこの接続形態が使用されることがあります。

リング型ネットワーク
リング型ネットワーク


 次にバス型です。一直線の長いケーブルがあり、そこから枝分かれしているケーブルにコンピューターを接続します。

 T字型の金属の端子をパソコンに装着し、その金属端子同士をケーブルでつないでバス型のネットワークを構成します。そして、両端のパソコンをつながない箇所にはケーブルを露出しないように、ターミネーターと呼ばれる装置をつけます。

 バス型も、どこかが断線すると断線の反対側と通信できません。また、バス型は根幹となる部分はどうしても直線的になってしまうため、ネットワークに新たなコンピューターをつなぎたくなったときに不自由してしまいます。そのため、古いネットワーク機器ではこの接続形態が使われていましたが、現在ではあまり見られません。

 なお、ネットワークの図はこの接続形態が最も描きやすいためか、図ではバス型を最もよく見かけます。

バス型ネットワーク
バス型ネットワーク


 最後にスター型です。ネットワークの中心に部分にハブと呼ばれる機器があり、ハブにはケーブルを接続できる口が複数あります。そこから一本ずつケーブルを出し、コンピューターにつなぐようになっています。ネットワークに接続するコンピューターを増やしたくなったときは、接続口の多いハブに交換するか、ハブ同士を1本のケーブルでつなぐだけで済みます。

 スター型で各コンピューターが壊れてもその1台が接続できなくなるだけですが、中心となる機器が壊れてしまうと誰もネットワークに接続できなくなります。それでもハブがちゃんと動いていることにさえ注意すればネットワークが使えるので管理がしやすく、バス型よりも多く使われています。

スター型ネットワーク
スター型ネットワーク


 主な接続形態は以上の3つで、実際には上記を複雑にしたようなネットワークが組まれることは多々あります。たとえば、スター型のネットワークでハブが故障したときのためにハブを2つ用意し、片方のハブが壊れたらもう片方が動作するように自動で切り替わるなど、ネットワーク障害を防ぐ仕組みがあります。

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posted by 北条利彦 at 20:40 | Comment(2) | TrackBack(0) | 通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

ネットワークの基本的な考え方と問題点

 コンピューターはあらゆるデータを数値として処理しています。ネットワークにつながっているコンピューターのうち、どのコンピューターと通信すればよいのかを指定するときも、コンピューターについている番号を利用します。

 たとえば、次の図のように線でつないだとします。

とりあえず接続した図

 ここで、1番のコンピューターが3番のコンピューターに対してデータを送りたいときは、宛先のコンピューターの番号と、実際に送りたいデータを一緒に送信すると決めておきます。ちょうどハガキと同じようなもので、伝えたい内容だけでなく、伝えたい相手が誰なのか特定するために住所と氏名を書くことに似ています。

 そして、ネットワークに接続したいコンピューターが増えてきた場合は、図のテキストに書いてあるように1台ずつ加えていきます。

 このように取り決めを行えば、とりあえずはうまく通信できそうです。しかし、ネットワークに接続するコンピューターの台数が増えてくると、いろいろと問題が生まれてきます。

 たとえば、1番から100番のコンピューターを接続した場合で、もし1番と2番の間にあるケーブルが断線してしまうと1番のコンピューターは誰とも通信できなくなってしまいます。また、1番が通信をするときは必ず2番のコンピューターを通るので、2番の電源を落とした場合も、1番は通信できなくなります。同様に考えて、1番と100番が通信するためには、その間にある線もコンピューターもすべて正常に動作する必要があります。

断線してしまうと……

 また、コンピューターにつける番号も、コンピューターの台数が増えると管理が大変です。たとえ異なる複数の企業、団体同士であっても、同じ番号が出ないように調整しなければなりません。そうでないと、通信すべき相手が特定できなくなってしまいます。

 これらの問題点の解決方法は、のちの記事で書く予定です。

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タグ:TCP/IP
posted by 北条利彦 at 18:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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