私見ですが、ROM(Read Only Memory)は2通りの意味で使われます。ひとつは、名前通り「読み取り専用記憶装置」という意味です。たとえばDVD-ROMというのは、読み取りしかできない、データ用のDVDのことです。このほかに、不揮発性の(電源を切ってもデータが消えない)半導体メモリーのことを指す場合があります。後者の意味では“Read Only Memory”という名前とは全く関係がなさそうに思えますが、技術の進歩の元をたどると、なぜこのような単語になったのかが分かります。

当初、半導体メモリーといえば揮発性のRAM(Random Access Memory)と不揮発性のROMでした。これら2つを用途によって使い分けるわけです。
コンピューターを出荷してから、一度も書き換えなくても良いデータというのもそれなりにあるので、そういう部分にはROMが使用されていました。しかし、それでも書き換えられないというのは不便なものです。そこで、ROMに似通った技術を使って、1度だけ書き込むことのできるメモリーや、書き換えが可能なメモリーが作られていきます。これらの書き込みができるメモリーにもROMという名前がついているのがややこしいところです。「読み取り専用のメモリーだからROM」という名前なのではなく、「ROMと名前のつけたデータ記録技術」だと納得するしかないと思います。ROMと名をつけた技術が、技術の進歩によって名前に反する技術になっていったわけです。
1度だけ書き込みができるROMというのが、PROM(Programable ROM)です。プログラムというのは、その他の一般的なデータとは違い、一度作ってしまえば内容を更新しなくても使えるものです。そうやってPROMの名前を覚えるのが良いかと思います。もっとも、現実には、プログラムを作った後でバグが発覚するなどして更新の必要が出てくることはあります。
1度だけの書き込みというのも不便ですから、今度はデータ書き換え可能なROMというのが出てきます。これがEPROM(Erasable PROM)です。“Erasable”という名前は「消去可能」ということを意味します。「書き換え」と「消去」では言葉自体の意味は異なりますが、ソフトウェア的には同じ意味です。“0”や“1”のデータが意味のある並びになっているのが普通のデータですが、これを消去するというのは、“0”や“1”をバラバラに書き込むことであったり、すべて“0”にするという操作を意味します。つまり、書き換えと同じことです。
EPROMは書き換えができるから、もう十分だろう……というと、そうではありません。書き換えはできても、一度に全部を書き換えることしかできません。そこで、部分的に消去できるROMというのが出てきます。これがEEPROM(Electrically EPROM)です。Electricallyはもちろん、「部分的に消去可能」という意味ではありません。「電気的に消去可能」という意味です。EPROMは紫外線で消去していたのですが、EEPROMは電気で消去するため、この名前です。
さて、EEPROMで部分消去可能になりましたが、さらに技術は進歩していきます。EEPROMよりも高速に書き換えが可能なフラッシュメモリーの登場です。素早く書き換えができるのは非常に便利なようで、今はフラッシュメモリーがいろいろなところで使用されています。フラッシュメモリーは、USBメモリーや、iPodに使用されていることが有名です。
この記事で書いたROMを以下にまとめます。
元祖ROM …… 工場出荷時に書き込まれる。ユーザーが書き込むことは不可能。
PROM …… 1度だけ書き込み可能。
EPROM …… 紫外線で消去可能(一度に全消去)
EEPROM …… 電気的に消去可能(全消去、部分消去)
フラッシュメモリー …… 電気的に消去可能(全消去、部分消去)、高速
posted by 北条利彦 at 09:13
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